2019年3月26日火曜日

頑張っていないのではなく、頑張り方を間違えている

各県の公立高校の志願者数や倍率が出揃った。印象としては、やはり「数は正直だ」ということだ。
これは一種の社会学における「足による投票」だ。魅力化プロジェクトを内側から見させてもらっている立場からすると、きちんと保護者や生徒の声に答えているだけでなく、地域の声にも心を寄せている行政がある地域の高校は伸ばしている。そうでない地域・行政(意図的かそうでないかは置いておき)、そもそもプロジェクトの内側がバタバタしてしまっていてうまく回っていないところほど、生徒は来ず、地域外に流出し、クラス減少になっている。
これは、決して「頑張っていない」「努力が足りない」というわけではない。頑張っている、努力しているのに、支持されない、売れないという日本のものづくりにある現象である。

日本は元来、技術立国と言われるほど、技術が発達している。特許数の世界ランキングなどを見れば、明らかだろう。しかし、技術で勝つ日本は、事業で負ける。iPhoneの中は殆ど日本製なんだ!いいじゃないか!と甘いことを言ってはいけない。Appleはそれをブランディングでエゲツなく苦労せず儲けている。コツコツ作り、それなりの対価を得つつも、世界経済に翻弄されるビジネスより、付加価値で儲けて、世界経済の状況により、豊富な資金源を使って新たなブランディングを図る方がしたたかではないだろうか。
ブランドは、顧客の期待を超えた満足度から構築される。そもそも、日本企業はものづくりにおいて市場をセグメントし、自身の企業の立ち位置を決めた上で、ターゲットを定めて、的確・適切に顧客に価値を届けられているだろうか?
それなくして、ブランディングなど無理だろう。そもそも、顧客がわかっていなければ、何が期待値か、いかに期待を超えるかがわからないからだ。マーケティングにおける基本中の基本であるSTP戦略すらできないのに、そもそも、更に高度なブランディングなど無理だろう。

さて、魅力化プロジェクトなどを進めている高校は、それができているだろうか?保護者・生徒、地域の声を聞いた上で、限られたリソースを有効活用すべく、選択と集中ができているだろうか。対象をセグメンテーションし、組織の強み(ここでいえば高校や魅力化プロジェクト の想い)を踏まえた上でのターゲッティングができているだろうか?そもそも、セグメンテーションする際に、PEST分析、3C分析した上で、SWOT分析くらいはしてほしい。(いきなりSWOT分析は正直、相当のデータを蓄積していないとならないので、難易度が高い)その上で、情報発信をターゲットに届く形で実施し、納得してもらうコミュニケーションができているだろうか?(ポジショニング)
今後、魅力化プロジェクト (そう銘打たなくとも、県外募集をしているなど)をしている高校が増えていく中で、先行者利益だけでは生きていけない時期が、必ずやってくる。いや、もう来ているからこその、今回の志願者倍率なんだろう。

頑張っている、努力しているのに、うまくいかない、保護者や生徒、地域に選ばれないのは、頑張り方を間違えているから。戦略がないから。今の喘いでいる日本企業と同じ。

さて、各地、戦略的に魅力化を進めていく覚悟はできているだろうか。

2019年2月28日木曜日

経済産業省「未来の教室」実証事業に採択されました

株式会社Prima Pinguinoは経済産業省「未来の教室」実証事業に採択されました。
そのプログラムの様子をご紹介します。

1月には長野県・北海道で、公立教員向けに、「高大接続・大学入試改革対策研修プログラム」として実施しました。
このプログラムは、公立高校の先生方向けに、PBLでの教育を実現する能力開発プログラムです。

なぜ、PBLを地方の公立高校の先生方向けに実施するのかというと・・・・

昨今のEdtechの発達により、先生方の過度な負担が軽減された後が実は重要です。
今後の社会に必要な力を育成するためにPBL(Project Based Learning)を実施する必要があります。
新指導要領や総合的な探究の時間においてもPBLの重要性は増しています。一部、都市部の高校ではPBLの勉強会などが行われています。
しかし、PBLを実現できる先生は多くはありません。PBLの意義自身も特に地方の公立高校まで行き届いておらず、理解すらされていない場合もあります。
PBLとは何か、教育手法や教材、教育環境、教育できる先生のスキルすら模索段階であると言っても過言ではない状況です。

そこで今回のプログラムでは、高大接続・大学入試改革対策として、PBLを意味づけて研修プログラムを開発し、実施しました。
PBLは2020年から改革される高大接続・新大学入試で評価される学力の3要素の育成に向けて有効な手法だからです。
また、高校生にとっても「いつかの将来のために」よりは「目の前にある大学入試のために」と短期的ではありますが、
きっかけとして、訴求力が高いと考えました。高校の先生方にとっても、今後の改革は気になるところでしょう。
PBLを拡大をさせていくためには、ロマンだけでなく、ソロバンも重要であると考えました。

プログラム内容は以下の通りです。

Session1:PBLのパフォーマンスを高める心理的安全をチームビルディングで醸成し、リフレクションも実施する。

Session2:Session2は3フェーズに分かれており
2-1はジグソー法により、PBLに必要な知識活用力などのスキルセットと知識を学ぶ、
2-2はチームで問いを立て問題発見・解決策を考えて表現する、
2-3は学問カルタでPBLの成果を学問に結びつけて進路や志望校に接続する。

Session3:いわゆるソフトスキルのような得点にしにくい自身の能力(リテラシー・コンピテンシー)を高めていく経験の言語化をプレスタ法で実施するリフレクション。

Session4:新大学入試模試では新しい入試形態を体験し、入試と今後社会で求められる21世紀スキル、PBLの関係を参加者自身が言語化し、認識する。

プログラムと大学入試改革との繋がりは以下の通りです。

Session1と3はリフレクションによる21世紀スキルの自己成長力を実現するメタ認知力を高めると同時に新入試でいえばe-ポートフォリオ対策にもなっている。

更には自身を知ることはもちろん、自己PRや志望理由書にも繋がってくる。学力の3要素における主体性・協働性・多様性を自律的に育む手法にもなっています。

Session2は2-1でリテラシーやPBLでの問題発見解決能力を高めると同時に、思考コードにも対応しており、大学入学共通テスト(仮)における記述式の設問に対応。
2-2は自身の目的意識や志望理由を構築する能力に直結し、PBLの過程で学力の3要素をバランスよく鍛える。当事者意識がPBLに重要であることも認識させる。
2-3では生徒自身の進路選択に繋がる。志望理由書にも対応可能

今後に必要な21世紀スキルや学力の3要素を鍛えていく過程で新大学入試改革にも対応するロマンとソロバンの両立こそ、キレイゴトだけではない、現実を見据えたムーヴメントになり、結果、多くの人を巻き込む原動力になると、信じています。

長野県では、主に公立高校の教員のみを対象に、1月12~13日・1月19日の3日間にわたり長野市内で研修を実施しました。
高校の先生方としては、初めてのPBLに戸惑いつつ、試行錯誤しながらも、先生方自身でPBLをご理解されたようでした。
「これなら生徒にやってみたい」、「PBLと新しい入試の繋がり、学力の3要素との繋がりがわかった」、「また研修があるのであれば参加したい」との声をいただきました。

また北海道では、公立高校の教員の方に、一部このテーマに関心のある自治体職員や会社員の方などを加え、女満別高校にて1月16~18日に実施しました。

北海道でも上記のような感想に加えて、先生方以外の社会人が参加した意味があったようで、先生方以外の社会人からは「高校の先生と生徒にとって良い教育をしたいという思いは一緒だと気付いた。
こういう経験がなければ、ずっと勝手に作った壁を感じていたであろう。専門性の壁。学校に入るのはおこがましいと思っていた。
何を目指しているかがわかると、違いはやり方だけで、むしろアプローチの違いが武器になる。」との声が。

また、(かつて会社員経験がある)先生からは「PBLは多様な人、違う人の立場の意見を聞いて進める方がいい。
教員になってからほぼ、そういう機会ははない。学校にきてもらって、社会人とやってみたい。」と地域連携の可能性を感じさせるものでした。

このように、異なる立場が同じ目標や問題に向かっていきながらの学びを「越境型学習」と呼んでいますが、PBLには越境型学習が有効であることが参加者に意見からもわかってきました。

2019年2月7日木曜日

考え抜き、もがき抜き、試し抜き、反省し抜いたか

多くの地域でプロジェクトを多面的展開をしていると、「あの地域、学校は良いなぁ」と言われることがある。うまくいっている地域ほど恵まれているように思えるし、見える。自分たちの地域を改めて見たとき、自分たちの方が厳しい状況のように思える。自分がそこにいることを恨むこともあるだろう。
もちろん、自分もある。常に挑戦しているから、常に厳しい状況。自らそこに飛び込んでいるともいうが。(それがファーストペンギンである所以だが)
そんな時、いつも、4つの抜く、を意識するようにしている。

考え抜き、もがき抜き、試し抜き、反省し抜いたか。

①考え抜いたか?
まず、自身と自身を取り巻く環境について詳細に、状況を捉え、構造化したか。愚痴と問題提起の違いは、問題を構造化して伝えているか。問題を設定すべく、あるべき姿と現状を考えたか。その上でギャップを捉え、なぜ起きているのか、深堀だけでなく、どの要素が共変関係が関連性があるのか、どんな悪循環があるのか、その根拠はあるのか。類似した状況はあるのか、そことの相違点と共通点はあるのか。類似した状況では、どんなプロセスで解が導かれたのか、どこまで解決していて、どこから解決していないのか。それはなぜか、などなどなど。書ききれないほどの「問い」があり、それらが全て考え抜かれたかを気にする。
(とはいえ、これでも抜け落ちることが多く、社員に突っ込まれる日々である。うちの社員、すごい)

②もがき抜いたか?
簡単には答えや結果は出ない。行動してみても、うまくいかないと。結果はすぐにはついて来ず、悶々とした日々が続くことになる。もがき、苦しみ、自分が嫌になる。安易な答えにすがりたくなる。助け舟が神のように思える。しかし、もがく時期ほど、人の学習能力は高くなる。認知的不協和というモヤモヤした状況に、人は本能的にそれを解消したいと考える。その為に、考え、知識を獲得し、学ぶ。僕の世代の男性は、雑誌hot dogの「女の子はデート中に何を考えているか」とか「デートの時にすると喜ぶ5つの法則」を、数学の解の公式を覚えるよりも早く学んだだろう。もがく時期ほど、悶々とする時期ほど、その学びは自分ごとになる。もがき抜いた先にある学びや行動の集大成は、恐らく、その当事者オリジナルになるのだと思う。その一部が計画された偶発的理論だと理解している。そして、うちの社員は僕がもがく姿を楽しんでる。多分。

③試し抜いたか?
あらゆることを考え抜き、もがき抜き、その上で、試しただろうか。行動に移して、トライしただろうか。失敗した理由を突き止め、改善して再挑戦してみただろうか。挑戦も試行もやり抜かないと意味がない。やってみて初めて結果が出て、声が出る。何もしないのに声や意見が出ることはない。誰もがなにかを食べて口にしないと本当に美味しいかまずいかはわからない。試せば、見えてなかった世界がいともあっさりと顔を出す。

④反省し抜いたか?
反省というとネガティブなイメージがあるので「振り返り」とか「リフレクション」という言葉でも良いと思う。何かを考え、企画し、実行してみた時、その結果を良い結果にせよ、悪い結果にせよ、ゴールからスタート地点を反り返り、省み、分析し、考え尽くした時には、今後のヒントと、改善点、次の企画が見えてくる。行動や挑戦の結果は、財産だ。その財産は、反省するかしないかで、宝になるかクズになるかの分水嶺となる。

【文句や愚痴はやってから言う】
「ちはやふる」という映画で、主人公のひとりの男の子が、「俺はなにをやっても、勝てない、そうわかったんだ。」と呟く。競技カルタの師匠の神社の神主は「やってから言いなさい」とピシャリという。
好きなら好きといえば良いし、行動したいなら行動すれば良い。挑戦したいなら挑戦すれば良い。自分を守るための言い訳をして、文句や愚痴を言うなら、他の人の大切な時間を巻き込む覚悟を持ってほしい。聞いている人は「ならやってみれば良い」と思っていることを意識しつつ、文句や愚痴を言えばよい。文句や愚痴を言う時間があれば、企画や挑戦を考えて実行すれば良い。でも、人間は弱いモノ。文句や愚痴も言いたくなる。ならば、それらをフル活用する。構造化されていないその情報には、実は価値がある。耳を傾けて、よく聴き、繋ぎ合わせたり、論理的にすることで、見えてくることがある。
古代の呪い戦とは、そう言うものだったらしい。
呪いとは要は敵の愚痴や悪口。それをしまくる。それを聞いた将軍やリーダーは頭の中で構造化し、作戦を練ったらしい。文句や愚痴を聞いても、考え抜く。

【要はやったもん勝ち】
ということかなと。

なぜ、4つの抜くなのか。
多分、僕は「しつこい」とても「しつこい」
簡単には諦められない。故にしつこい。
頑固だ。それは母親の東北人の血だ。
それが僕のアイデンティティに起因している。

だから、4つの抜く、なのかもしれない。

2018年12月11日火曜日

全国の高校の先生方へ&12/20の全国同時多発的お披露目会のお知らせ

 弊社が開発した学問カルタが商品化します!
ついに念願の市場に投入です。創業以来、永きに渡りお世話になっているベネッセコーポレーション様からの発売です。
 「進路サポート」に学問カルタが付属し、ワークシートも掲載されています。
 正確には「未来を拓く探究シリーズ 進路サポート」です。お披露目会はベネッセさんが12/20に開催する「探究キャリア研究会」にて。僕が全国の会場をネットでつないで全国の先生方と同時多発的に学問カルタの模擬授業をするとのこと。震える。
 これからは全国の高校生ひとりひとりの手元に学問カルタが届き、ワークシートでいつでも学問の理解、自身が探究していること&興味があることと学問を繋げられます。自分の関心にあった大学・学部を選択し、志望校を選ぶことでマッチングをはかり、高校生の進路満足度を上げられます。さらにミスマッチによる退学・中退を回避できます。
 これからはPBLなどの探究学習が求められます。が、探究した内容と志望校をつなげる”学問”に対する理解がなかなか進まないのが現状。このままでは生徒の志望校選択にミスマッチが起きてしまう。これは高校生、高校の先生方、大学にとって三方悪し。ゲーム感覚でワークショップ形式で学問を理解し、志望校選択のきっかけにできるのが学問カルタ。没入しながら学問を学べます。
 開発から市場導入まで4年ほどかかりましたが、改良を加えつつ、高い参入障壁をビジネスモデルを構築することで、競争優位性と共に実現したい。海外にも出したい。
 この他にも開発中の教材や仕組みがあるので矢継ぎ早に市場に出して行きます。
 そうだ、弊社はそもそも教材作成会社でした。
 今後も教育現場に入り込み、生の課題を抽出しつつ、解決策を教材化して現場に送り届けます。

2018年11月5日月曜日

自分にとっての“イイ仕事”を“させてもらう”

10/26-28は島の教育会議で隠岐島前・海士町へ。高校魅力化プロジェクト10周年ということで、大々的な会議に。お誘い頂き、里帰り。
僕のミッションは夢ゼミ未来会議。与えられた時間は80分。この時間のために、一ヶ月前から学習センターの夢ゼミ担当と会議を繰り返す。最初は80分のために一ヶ月も時間かける?と思ったが、これがまた手強い。全然、決まらない。考えては壊し、考えては壊し。いつのまにか、明後日には島に行く日程に。
流石に、焦り始め、最後の会議では「その場で決めましょう。丸腰で来てください。」と。「ええええええ、まぢで?まぢで?言ってる??」と不安Max。
パワポ芸人の僕としては、武器も持たずに北斗の拳の世界に投げ込まれる様なもの。あまりの投げっぷりに「?????」の状態。が、ちょっとワクワクする自分がいた。恐怖体験が少しずつアドレナリンを分泌して、その状態にほくそ笑む感じ。学習センターのメンバーが、先生から聞いてきた「まずは話を聞こう。話はそれからだ。」が、響いていた。

見事に、パワポを何も作らずに、10/26の昼に島に着く。
夢探究未来会議に圧倒され(これはまた別に書く)、感動していたのも、束の間、自分の時間が近づく。
不安だ。どうしよう。何をすれば良いんだろう。
そんなことばかりが頭をぐるぐると回っていた。
そんなこんなで、夢ゼミの時間も始まってしまった。パワポも資料もないのに、意味ないのに、パソコンとか開いてみた。苦笑
教室の中には魅力化プロジェクトを、推進してきた副町長以下、行政の方々、元島根県教育長、現役島根県教委、歴代校長、元魅力化コーディネーター、学習センタースタッフ、現役の先生などなど、錚々たるメンバー。こんなに来るなんて聞いてない。笑笑
これだけの人を前にして、何も話すことが決まっていない‼️ピンチ‼️

でも、こういう時にこそ、出てくる言葉を自分で、
どこかで期待していた。
ロジックではなく、戦略とかではなく、ただ、その場を感じて出てくる想いと言葉。
その場の空気と匂いと音から出てくる、騒がしさとシーンとした静寂の境にいると、滲み出る言葉。

しばらくして、「ここにいる人たちと、魅力化プロジェクトを繋げるものは何だろう?」と言う言葉が出てきた。これだけの人達が高校魅力化プロジェクトに関わってきた、関わっている、今後関わっていく。
自分とプロジェクトを繋げる言葉が、聞きたい。
自分とプロジェクトを繋げる言葉。
そして、それは自身の生い立ちから出てくる醸し出される言葉。自身の過去と現在、未来と自身の目の前にあるプロジェクトを繋げる言葉にこそ、皆を本当に繋げ、本当のチームになる、同志になる、それを見てみたい、言葉が聴きたい、と思った。3分前までに出て来なかった言葉と問い。

僕にとっては「挑戦」
慎二という名前は、一番ではなく二番で一番を、追いかけ続けろ、挑戦し続けろという想いが由来。
だから、挑戦し続けた。
5歳で三輪車で千葉から東京に行ったり、虫が嫌いなのにボーイスカウト入ったり、中学受験したり、海外留学したり、ラグビー始めたり、塾講師始めたり、起業したり、経営者しながら、大学の教員なったり。
僕にとっては「挑戦」が生きるキーワード。
魅力化プロジェクトも挑戦の一つ。
でも、最近は少し落ち込んでいた。全国に魅力化プロジェクトを拡げることは簡単ではない。目の前で否定され、批判されたりすることもある。でも、批判する相手だって、立場と想いあってのこと。その難しさに心折れそうな時も正直あるし、今もある。でも、久しぶりに島前高校にきて、魅力化プロジェクトのメンバーにあって、この教室での空気、匂い、音の中で、やはり、元気になっていて、「あ、僕はプロジェクトからいつも挑戦する機会をもらっていたんだな」とふと気付いた。自分とプロジェクトを繋げるモノ。

この問いかけからのワークショップが、よかったかどうかは正直わからない。皆からはお疲れ様、よかったよと言われながらも、やっぱり納得がいっていない。
ずっと気になっていた。

でも、受けてくれた方からのメッセージ、そして想いと感想をいただき、本当に安心した。報われた気がした。

自分は実は仕事をさせてもらっている。
自身が、成長する仕事は、させてもらえる。

自分にとっての“イイ仕事”を“させてもらう”

自分の持つ知識とか能力とか、立場とはぜーんぶ投げ捨てて、一人の人間として、皆と対峙した時に出てくる、新しい自分との出会いこそ、自己成長なのかもしれない。

そして、今の夢ゼミメンバーに“イイ仕事”を“させてもらった”のだと思う。これは、今のメンバーからの「もっと良い夢ゼミを創っていきますので、外から見て悔しがってください。」というメッセージだったのかもしれない。

仕事をさせてもらった上で、成長までさせてもらった。もし、それが周囲の成長や気づきにつながるのであれば、本望。

もしかしたら、少し仕事の仕方変わるかも。もし、パソコンを使わなくなったら、それは、その仕事を通じて、新しい自分を見たいからかもしれない。笑

隠岐島前高校魅力化プロジェクトのメンバーは、よく泣く。僕は泣くのが不得意で、下手なので、できれば泣きたくない。

ただ、夢ゼミの最後に「9年前に、このプロジェクトに初めて参加した時にら見たかった風景を、見せてくれてありがとう。」と言った時と、メッセージをもらった時は、実は泣いていたのは、ここだけの秘密である。

2018年8月1日水曜日

グー、チョキ、パーからパー、チョキ、グーへ

先日、浦添市教育委員会の教育長と会議をしました。
その中で印象に残った言葉は、
「沖縄に外から入る人は、グー、チョキ、パーだ。
 みんな、握りこぶしで頑張るぞ!って入るのでグー。
 すると、皆、仕事が遅いとか、やる気ないとかの温度差を言い始めて、
 人を遠のけたり、切り始めるのが、チョキ。
 挙げ句の果てに、だめだー、やめたーと手放して、手を挙げるのがパー。
 このケースがとても多い。
 うまくいくのは、まずは自分の実績も考えも手放して地域に入るパー。
 フラットな付き合いの中で、必要な人を選び(チョキ)、
 チームを固い握手でつくるグー。
 パー、チョキ、グーなんだよ。」

とても納得。
これは沖縄に限らず、どの地域でもそうかもしれない。
地域に都会から入る若者はグー、チョキ、パーが多い。
海士町では、まずはパーになれとY課長に徹底的に仕込まれました。まだ出来ているかはわからないけど、意識はしています。

地域によって問題は異なるし、それが生じた経緯も、原因も異なります。
であれば、当然、解決策も、解決するプレイヤーも異なります。
でも、なぜか皆、これでいいはず、と、解決策から入るものです。

問題解決で注意すべきは、解決策から問題を作り上げてしまうこと。
あくまで問題意識から考えるべきなのだけど、うまくいった解決策を使いたがります。
おそらく、人は誰もが「楽」をしたがる。
便利な武器を手に入れたら、使いたがる。
デートで、相手にウケが良かったお店はまた使いたがる。
相手が別人でも。
誰もがある現象でしょう。
でも、本当に問題は同じなのでしょうか?
原因や経緯は同じなのでしょうか。

頭や気持ちを一度、開いて考える必要がありそうですね。

パー、チョキ、グー。


「握りこぶしと握手はできない」


ガンジーの言葉が浮かんだ会議でした。

2017年12月13日水曜日

スーパージェネラリストになるには

近年、高校で地域性を生かした特色あるコースや学科、総合科目ができています。
国際観光科や地域創造科など。
今後はワイン科など増えて行くでしょう。


ただ、「それらを学んでもむしろ専門的で、高校生の進路選択の幅を狭めるのでは?」

という意見があり、
僕は「そんなことないですよ」
と言っていましたが、なかなか理解が得られませんでした。
が、これは良い話です。

「一芸に徹すれば万般に通ず」
〝 〔スーパージェネラリスト〕
 アメリカのニューメキシコ州の片田舎に、
 現代科学の最先端のテーマ、「複雑系」を研究する
 サンタフェ研究所があります。
 世界的に知られるこの研究所では、
 物理学、生物学、心理学、政治学、経済学、社会学など
 様々な分野の専門家が世界中から集まり、
 広汎な学際的研究が行われています。
 かつて、このサンタフェ研究所を訪問したとき、
 初代所長のジョージ・コーワン博士に会う機会を得ました。
 そのとき、博士の語った言葉が、心に残っています。
 「世界中からノーベル賞級の研究者が集まる
  このスペシャリスト集団をマネジメントするために
  どのような人材が必要なのでしょうか」
 その問いに対して、コーワン博士は、ただ一言で答えました。
 「スーパージェネラリストです」
 なぜ、博士のこの一言が、深く心に残っているのか。
 それは、博士の語る「スーパージェネラリスト」とは、
 単に、様々な分野の知識を幅広く理解している人材
 という意味ではなかったからです。
 「スーパー・ジェネラリスト」とは、
 一つの専門分野を深く掘り下げた経験を持ち、
 その結果、すべての分野に通じる
 深い叡智を獲得した人材のことだったからです。
 一芸に徹すれば、万般に通じる。
 その古き日本の諺のごとく、
 我々の叡智を求める営みは、
 あたかも「井戸水」のように、
 一つの場所を深く掘り下げていけば、
 必ず地下水脈に突き当たり、その地下水脈は、
 どこまでも横に広がっている。
 西洋科学の最先端が求める「スーパージェネラリスト」
 それは、東洋思想における
 叡智の在り方に通じる言葉でもあったのです。
                  田坂広志さんより〝

田坂さんが引用した“一芸に徹すれば、万般に通じる。”

確かに、一つのことを突き詰めると問題や課題が多岐に渡ります。
なぜなら、一つの物事は、実は複雑に様々な要素が絡み合っており
一つの分野や学問でアプローチすることは困難です。
だからこそ、突き詰めていくと、様々な分野や学問に突き当たります。
その経験がスーパージェネラリストを育むのではないでしょうか。


そして高校生であれば、様々な分野や学問に触れられることで、自身のやりたいことを見つけられるのではないでしょうか。


私自身がお世話になった慶應義塾大学SFCもそのようなキャンパスだったのでとてもよくわかります。

“一芸に徹すれば、万般に通じる。”

心に留めておきたい言葉です。