2016年5月25日水曜日

2015年 全国に拡がった高校魅力化の成果

【2015年、全国に拡がった高校魅力化の成果】

①北海道羽幌町立天売高校
北海道の日本海側にある350人の漁業と観光の島、天売島。

全校生徒4名の高校に、今年、2年ぶりの入学式で入ってきた生徒は3名。
島から、北海道本島から、北海道外からと多様な面々。昨年度、地域おこし協力隊が
着任し、全国に高校をアピール。

コンセプトは、「働きながら学び、自立できる高校」天売高校は夜間定時制。
昼は働き、夜は学べる。普通の定時制に思えるが、昼は役場の仕事、郵便局、保育士の
補助と働くことがキャリア教育になりそうな環境。しかも、お給料もしっかり出て、
天売の子達は自分で働いて進学費用にしたそう。高校でも、生徒4人に対して、先生は
8名で、しっかり基礎から進学まで個別指導。
食費や部屋代などの生活費を差し引いても3年間で150万円ほど貯められる。
この資金を元手に進学できる、経済的にハンデがある生徒でも進学できることを
目指して、生徒募集した結果、全国から問い合わせが殺到。
島外募集2名に対して2名が入学。今年度は更に教育環境を充実させていく予定。

②長野県立白馬高校
かつては上村愛子さんなどのオリンピック選手を輩出してきた名門白馬高校。
少子化のあおりで生徒数が激減、廃校の危機に。

村と高校で作戦を立て、6月には県教委をも協働し、魅力化プロジェクトを推進。
白馬村天気小谷村両村と、県教委、高校と地元住民によるメディアへの発信、全国からの
募集、国際観光科の設置、公営塾「しろうま学舎」の設置、寮の整備を推進。
皆が改革に向かって動かれ、しろうま学舎も講師が集まり、9月から開設。魅力化の
甲斐あって2年前から入学する生徒数が2年で50名から77名に。全国から生徒が
集まるように。

今年度はしろうま学舎に新たなメンバーも増えチーム体制を確立。生徒も既に50名に
せまる勢い。

国際観光科もスタートし、yahonやJTB、星野リゾートとも、協働した学びや
アクティブ・ラーニングを展開する予定。

③大阪府立能勢高校
橋下知事体制で決められた3年間定員割れの高校は統廃合の対象とする条例により危機に。

しかし、いち早く動いた能勢町教委は過疎地の恩恵が受けられない限られた資源の中で
リクルートの受験サプリによる中高一体となった「よのなか科」、課題先進国日本に
おける課題先進地域能勢町の課題を探る地域課題発見・解決型キャリア教育
「アイディアソン」など様々な施策を実施。
またSGHにも選ばれ改革を加速。2015年度は推薦・AO入試対策講座から
立命館大学合格(2年連続)。年々減る生徒数は昨年度増加し、今年は維持。

小中の新学校「ささゆり学園」も始まり、能勢の教育が新たなスタートを切る。

④広島県立大崎海星高校
広島県の瀬戸内海の美しい離島、大崎上島。多島美と村上水軍に縁を持ち、今でも
櫂伝馬の文化が残っている誇り高い海賊の末裔の住む島。

かつては海運・造船・柑橘類で元気だった島も、高齢化率50%で人口減少していた。
島にある高校、大崎海星高校は少子高齢化や人口減少により生徒数も減少。統廃合の
危機に。そこで島出身の若者や町長、校長先生が奮起し、大崎海星高校魅力化
プロジェクトを開始。2015年度に公営塾「神峰学舎」や大崎上島・大崎海星高校
でしか学べない時代の潮目を読む「潮目学」、自分を知り自分に軸を確立する
「羅針盤学」、中国電力の社員寮を活用し、島留学制度を実施。PRに地元の若者も
参画し、生徒を募集。2年間で入学する生徒が年間17名から31名に増加。大崎上島町内
から進学する生徒は中学生の31%から62%に増加。公営塾もスタッフ3名体制で現在、
奮闘中。

⑤沖縄県立久米島高校
沖縄本島から西に100kmに浮かぶ島、久米島。
海洋深層水を活用した海洋深層水温度差発電、車海老・海ぶどうの養殖や畜産・農業が
盛んな島。もちろん観光でも”東洋一のビーチ”はての浜がある島。

久米島高校は普通科2クラス、園芸科1クラスの3クラスの高校。
少子高齢化や人口減少で生徒数が減少。特に園芸科は生徒募集停止の危機に。
久米島町と高校が協働し、島留学を開始。毎年10名のみの募集ながら、1年目に5名、
2年目に10名になる。

2015年度は神戸で塾のマネジメンをしていた塾のプロを始め、塾スタッフ4名を揃えて
公営塾「久米島学習センター」を設置。映像を使った個別カリキュラムなどでの学力
向上とキャリア教育”ちゅらゼミ”を実施。久米島高校から約40年ぶりに琉球大学に
4名合格。4名は以前、沖縄に雪が降ったぶり。入学する生徒も55名から87名に激増。

2016年度からは教育寮での全人教育もハウスマスター2名体制で開始。
更には中学校の魅力化を図るべく新たに支援員が4名着任。シュタイナー教育の
幼児教育から中学、高校までの魅力化することで、”教育の島”目指して奮闘中。

”教育の島”への移住定住促進を図るべく、移住定住促進事業”島のコンシェルジェ”
が2016年度から開始。

地域おこし協力隊13名体制でまちづくりからの未来づくりに邁進中。

動けば変わる。