2019年3月26日火曜日

頑張っていないのではなく、頑張り方を間違えている

各県の公立高校の志願者数や倍率が出揃った。印象としては、やはり「数は正直だ」ということだ。
これは一種の社会学における「足による投票」だ。魅力化プロジェクトを内側から見させてもらっている立場からすると、きちんと保護者や生徒の声に答えているだけでなく、地域の声にも心を寄せている行政がある地域の高校は伸ばしている。そうでない地域・行政(意図的かそうでないかは置いておき)、そもそもプロジェクトの内側がバタバタしてしまっていてうまく回っていないところほど、生徒は来ず、地域外に流出し、クラス減少になっている。
これは、決して「頑張っていない」「努力が足りない」というわけではない。頑張っている、努力しているのに、支持されない、売れないという日本のものづくりにある現象である。

日本は元来、技術立国と言われるほど、技術が発達している。特許数の世界ランキングなどを見れば、明らかだろう。しかし、技術で勝つ日本は、事業で負ける。iPhoneの中は殆ど日本製なんだ!いいじゃないか!と甘いことを言ってはいけない。Appleはそれをブランディングでエゲツなく苦労せず儲けている。コツコツ作り、それなりの対価を得つつも、世界経済に翻弄されるビジネスより、付加価値で儲けて、世界経済の状況により、豊富な資金源を使って新たなブランディングを図る方がしたたかではないだろうか。
ブランドは、顧客の期待を超えた満足度から構築される。そもそも、日本企業はものづくりにおいて市場をセグメントし、自身の企業の立ち位置を決めた上で、ターゲットを定めて、的確・適切に顧客に価値を届けられているだろうか?
それなくして、ブランディングなど無理だろう。そもそも、顧客がわかっていなければ、何が期待値か、いかに期待を超えるかがわからないからだ。マーケティングにおける基本中の基本であるSTP戦略すらできないのに、そもそも、更に高度なブランディングなど無理だろう。

さて、魅力化プロジェクトなどを進めている高校は、それができているだろうか?保護者・生徒、地域の声を聞いた上で、限られたリソースを有効活用すべく、選択と集中ができているだろうか。対象をセグメンテーションし、組織の強み(ここでいえば高校や魅力化プロジェクト の想い)を踏まえた上でのターゲッティングができているだろうか?そもそも、セグメンテーションする際に、PEST分析、3C分析した上で、SWOT分析くらいはしてほしい。(いきなりSWOT分析は正直、相当のデータを蓄積していないとならないので、難易度が高い)その上で、情報発信をターゲットに届く形で実施し、納得してもらうコミュニケーションができているだろうか?(ポジショニング)
今後、魅力化プロジェクト (そう銘打たなくとも、県外募集をしているなど)をしている高校が増えていく中で、先行者利益だけでは生きていけない時期が、必ずやってくる。いや、もう来ているからこその、今回の志願者倍率なんだろう。

頑張っている、努力しているのに、うまくいかない、保護者や生徒、地域に選ばれないのは、頑張り方を間違えているから。戦略がないから。今の喘いでいる日本企業と同じ。

さて、各地、戦略的に魅力化を進めていく覚悟はできているだろうか。